2012年度

2012年度気象水文分科会オーガナイズドセッションおよび総会報告

2013年8月30日

日時:9 月 24 日(月)研究会13:30~15:30、総会15:30~16:00
場所:雪氷研究大会2011・小講義室 D (福山市立大学)

●オーガナイズトセッション
今年度のオーガナイズドセッションとしては、過去に分科会の会合で話題になった降雪観測のその後を取り上 げるため、「降水観測の最前線―降雪を測るー」というテーマで行った。話題提供者は、久保田拓志氏(宇宙航空研究開発機構)、ならびに中井専人氏(防災科 学技術研究所)の2名であった。久保田氏からは、「衛星搭載雲・降水レーダによる降雪観測:全球降水観測計画とEarthCARE」というタイトルで、今 後打ち上げが予定されている2つの人工衛星の計画やセンサーについてと、それらの観測データを用いた研究についての講演があった。全球降水計画では、同様 の降水レーダを搭載したTRMMで観測できなかった高緯度まで観測出来ることから、降雪観測は一つの柱になっていると言うことであり、今後の宇宙からの降 雪観測の可能性は期待を抱かせるものであった。また、全球降水計画で打ち上げられる降水レーダとEarthCareプロジェクトの雲プロファイリング・ レーダを併用することで、より詳細な降雪情報が得られるという。続いて、中井氏からは、「レーダーと多種地上測器による降雪観測」というタイトルで、最近 の研究プロジェクトの成果を多く盛り込んだ講演があった。講演では、主として全球降水計画の地上検証として行っている研究成果が話された。その中で、特殊 な測器を用いた雪片の含水率の連続観測の結果は非常に興味深かった。講演の最後には、新たな国際的な降雪観測の比較実験について話があり、さらなる地上観 測の精度向上に向けた取り組みが行われようとしているようだ。久保田氏と中井氏の講演は、共に内容が非常に濃く、予定していた2時間があっという間に過ぎ てしまった。

●総会
議長:兒玉裕二会長
(1) 事業計画・収支報告
事務局の鈴木より、2012年度の収支報告と簡単に今年度の事業計画を報告した。事業計画として、研究 会・総会の開催、分科会メーリングリストの維持・管理、分科会ホームページの作成・公開、雪氷辞典への協力、があることを述べた。今年度開始した新規事業 として、分科会ホームページ公開があった。
(2) 雪氷辞典
分科会を代表して参加している斉藤和之氏から、雪氷辞典の現状についての報告があった。報告の中で、既に分科会メーリングリストに流している気象水文分科会担当の原稿について、コメント等あれば早めに意見を出して欲しいとのことであった。
(3) 次期会長選出
 今年度限りでの兒玉裕二会長の退任により、次期会長選出の審議が行われた。会場から次期会長についての 推薦が無かったことから、兒玉会長から名古屋大・太田岳史氏を会長へと推薦する話があった。その結果、次期会長を太田岳史氏とすることを全会一致で決定し た。2013-2014年度の次期分科会役員については、太田岳史会長が指名することになる。
(海洋研究開発機構・地球環境変動領域 鈴木和良)

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