雪結晶の万華鏡を作ってみよう!
水津重雄 (科学体験クラブ府中)
1. 材料と器具
材料
塩ビミラー(厚さ0.5mm)、工作用紙、ポリエチレン半透明板(厚さ1mm)、具材(プラスティックビーズなど)、透明幅広テープ(幅8cm程度)、セロテープ、両面テープ、のり
器具
定規、はさみ、カッター、カッター台、黒マジック
2. 作り方
準備
- 出来上がりの形を知っておいた方が作りやすいので、図1に示します。
図1: 出来上がりの形
- 図2に材料を示します。
図2: 準備を施した材料
- 塩ビミラーは6.2x18cmに切り出し、青いシール側の面に中央にカッターで薄く切り目を入れ、3.1x18cmのミラー2枚がつながっているようにする。
- 工作用紙で内筒、外筒と無反射紙を作る。内筒は9.8x18cmに切り、後で折りやすくするため、短辺の端から3.2cmの所に長辺と平行になるように、カッターで薄く切り目を入れる。短辺の端から4.9、8.1cmの所も同様にする。外筒は10.6x19cmに切り、内筒同様、3.4、5.3、8.7cmの所に薄く切り目を入れる。無反射紙は1.6x18cmに切り、裏面をマジックで真っ黒に塗りつぶす。
- ポリエチレン半透明板は3.4x1.9cmに切る。これで、図2に示す材料が整う。
組み立て
- 塩ビミラーと無反射紙で三角柱を作る。ミラーの青いシールをはがし、中央部を切り離さないように注意しながら折り曲げ、角度が約30度になるように、外側をセロテープで接着する。その面を上にし、無反射紙と0.5mm程度すきまを開けてセロテープで接着する(図3参照)。
- ミラー内側の透明なシールをはがす。この面が反射面になるので、はがした面には触らないように気をつける。ミラーと無反射紙をセロテープで接着し、頂点が30度で、底面が無反射紙の三角柱を作る(図4参照)。
図3: 組み立て前のミラー
図4: 組立て上がったミラー
- 内筒を折り畳み、四角柱にし、その中に鏡の三角柱を固定する。内筒の内側の一部に両面テープを貼り、三角柱のミラーの端と内筒の端が合うように合わせ、ミラーが動かないようにする。その後、内筒の外側をセロテープで接着し、筒状にする。
- 内筒の端を透明幅広テープでふさぐように貼り付ける。8cm程度に切った透明幅広テープを接着面が上になるようにカッター台の上に置き、中央部に内筒の端を押し付け、筒の端の頂点それぞれから、カッターでテープを外側に向けて切り、切ったテープを筒の外側に接着し、固定する。
- 外筒を折り畳み、四角柱にし、その中に内筒を固定する。外筒の内側の一部に両面テープを貼り、外筒の端と内筒の透明幅広テープでふさいでないほうの端がそろうように固定する。反対側では、外筒の1cmほど内側に透明幅広テープでふさがれた内筒の端が位置する。ここが具材を入れる空間になる。外筒の外側をセロテープで接着し、筒状にする。
- 具材を適量(空間の1/3程度)選び、空間に入れる。それがこぼれないように、ポリエチレン半透明板で具剤を入れた空間でふさぎ、セロテープで仮止めする。反対の端からのぞいて、像が見えるか確認する。具材を替えたり、量を調節し、自分の好きな像が見えるようにする。その後、ポリエチレン半透明板を透明幅広テープで固定する。具材をたくさん入れると、具材が動きにくくなり、像が動かなくなるので、適当に調節する。
- 外筒の外側にきれいな紙を貼って完成。
3. 注意すること
- カッターやはさみは気をつけて使おう。カッターを使うときには、切るものをカッター台の上に載せ、定規(できれば金属製)をあて、カッターを手前に引きながら切る。あまり力をいれず、厚いものは何回か繰り返して引いて、切り離すようにする。
- 鏡2枚と無反射紙で作る三角柱の鏡と鏡の間の角度が30度になるようにする。三角柱が組み上がったら、何かを覗いてみよう。視野が正12角形であれば、大丈夫。この三角柱の端を新聞の折り込み広告や文字から1cmぐらい離して覗くと面白い模様が見えるから、やってみよう。
- きれいに見える万華鏡作りのポイントは、鏡と鏡の間の角度が30度になっていることです。できるだけ30度にちかくなるようにしてください。ミラー同士、ミラーと無反射紙の間に隙間ができないようにすることも大事です。セロテープを引っ張って接着すると、鏡がゆがむので、無理に引っ張らないようにしよう。また、内側のミラーにさわると、反射面が指紋で汚れてしまい、見える像も汚くなるので、さわらないように、注意しよう。
4. 解説
雪の結晶
雪は、上空で水蒸気が冷却され、水分子が集まってできます。雪の結晶は六方晶型になり、六方対称(六本の対称軸を持つ形)になります。実際の雪の結晶は、気温や湿度の条件により、平面方向だけでなく、垂直方向にも成長するので、千差万別の形になります。雪の結晶を、初めて人工的に作ったのは中谷宇吉郎先生ですが、先生の有名な言葉である「雪は天から送られた手紙である」は、雪の形には、上空の気象条件が反映されているということを示しています。
万華鏡
万華鏡にはたくさんの種類があるが、もっとも一般的なのは鏡が三枚で、正三角柱のもの。具材の模様が何回も対称に反射された像が視野内一杯に広がって見える。
具材で図5の模様を作ったとしよう。3枚の鏡でそれぞれ1回反射されると図6になる。さらに、2回反射されると図7、3回ではさらに反射が重なって図8になる。さらに反射が重なり、視野一杯に図5を対称移動させた像が広がる。
しかしながら、図8の緑の破線で囲んだ模様のように一つの点から3本の枝が出ている模様になり、雪の結晶のように6本の枝が出ている模様にはならない。
図5. 鏡の中の模様 図6. 1回反射による像
図7. 2回反射による像
図8. 3回反射による像
ここで紹介する「雪結晶の万華鏡」では正三角柱の鏡ではなく、頂角が30度の二等辺三角柱です。正三角形の頂角は60度ですから、半分になります。また、底辺は、光を反射しないように、黒く塗りつぶしています。図9の模様が反射され、図10の像が見えます。二等辺三角形の底面が反射しませんので、視野は正12角形になり、六方対称の像を見ることができます。ここでの説明は、科学体験クラブ府中の山本肇さんのアイディアを参考にしました。
図9. 鏡の中の模様
図10. 雪結晶の万華鏡による像